私道・セットバックのある新築建売。持ち分・通行・掘削の承諾と、重要事項説明で確かめること
家の前の道路が私道の新築建売では、その私道が建築基準法の道路にあたるか、私道の持ち分があるか、通行と掘削(水道管などの工事)の承諾があるかの3つを、売買契約の前の重要事項説明で確かめます。
前の道路の幅が4m未満のときは、セットバックで使える土地の広さも変わります。
この記事では、私道に面した新築建売で確かめることを、建築基準法と民法の一般的な決まりにそって説明します。
私道とは
私道は、国や市町ではなく、個人や会社が持っている道です。
分譲地では、区画をつくるときに新しく道を通し、その道を、道に面する区画の買主が持ち分で持つ形がよくあります。
物件ページの概要表では、「私道負担」の欄に、私道の面積と持ち分の割合が書かれます。
「道路の幅員」の欄には、家が接している道路の向きと幅が書かれます。
建築基準法の道路かどうか
建築基準法では、建物の敷地は道路に2m以上接していなければならず、ここでいう道路は、原則として幅4m以上で、法律で決められた種類のものです(建築基準法第42条・第43条、2026年10月時点)。
私道でも、特定行政庁から道の位置の指定を受けたもの(いわゆる位置指定道路)は、建築基準法の道路にあたります(同法第42条第1項第5号)。
幅が4m未満の道でも、特定行政庁が指定したものは道路とみなされ、道の中心線から2mの線が道路の境界線とみなされます(同法第42条第2項)。
この場合、境界線までの部分には建物を建てられないので、敷地を後ろに下げるセットバックが要ります。
私道を変えたり無くしたりして、その道に接する敷地が接道の決まりに合わなくなるときは、特定行政庁がその変更や廃止を禁止・制限できます(同法第45条)。
前の道がどの種類の道路かは、重要事項説明の「法令に基づく制限」や「道路」の欄に書かれるので、説明のときに聞いてください。
セットバックのしかたと、福岡市の狭あい道路拡幅整備事業は、別の記事で説明しています。
持ち分・通行・掘削の承諾
私道の持ち方には、私道全体をみんなで共有する形と、私道を区切ってそれぞれが一部を持つ形などがあります。
どの形でも、自分の持ち分だけでは、私道を自由に使えるとは限りません。
通行と、水道管・ガス管・下水管を通すための掘削について、私道のほかの持ち主から承諾をもらっているかを確かめます。
民法には、ほかの土地に囲まれて公道に出られない土地の持ち主が、公道に出るためにほかの土地を通れる決まりがあります(民法第210条)。
また、ほかの土地に設備を置かなければ、電気・ガス・水道などの供給を受けられない土地の持ち主は、必要な範囲で、ほかの土地に設備を置けます(民法第213条の2、2026年10月時点)。
ただし、場所と方法は相手の損害が最も少ないものを選ぶこと、あらかじめ目的・場所・方法を相手に知らせること、損害への支払いなどの決まりがあります。
将来の建て替えや水道管の取り替えのときに話がこじれないよう、新築建売では、承諾の書面が用意されているかを、売買契約の前に確かめておくと安心です。
重要事項説明で確かめること
私道に面した新築建売では、重要事項説明で次の項目を確かめてください。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 道路の種類 | 建築基準法の道路のどれにあたるか(位置指定道路など) |
| 幅と接する長さ | 道の幅と、敷地が道路に接する長さ |
| セットバック | 要るかどうかと、その面積 |
| 私道の持ち分 | 私道の面積と、自分が持つ割合 |
| 承諾の書面 | 通行と掘削の承諾書があるか、だれから出ているか |
| 維持の負担 | 舗装・側溝・街灯の直しの費用を、だれがどう負担するか |
| 使い方の決まり | 私道への駐車や物を置くことの決まりがあるか |
重要事項説明でほかに確かめることは、12項目のチェックリストにまとめています。
通路の奥に家がある旗竿地の場合は、通路の幅と駐車のしかたも確かめます。
次の一歩
私道の欄を見て、気になる物件を送る
物件ページの概要表の「私道負担」と「道路の幅員」を見て、気になる物件の番号か URL を LINE で送ってください。
空き状況・仲介手数料・諸費用の明細書をお返事します。
私道の持ち分や承諾書のことは、重要事項説明の前でも、気になったときに聞いてください。
この物件は0円になる?と思ったら
物件番号かURLをLINEで送ってください。取引態様を確認してお返事します。
まとめ
家の前の道路が私道の新築建売では、建築基準法の道路にあたるか、私道の持ち分、通行と掘削の承諾の3つを確かめます。
位置指定道路や、幅4m未満で指定された道も、建築基準法の道路にあたり、幅4m未満の道では、道の中心線から2mまでのセットバックが要ります。
民法には通行や設備の設置の決まりがありますが、相手への通知や支払いなどの手続きがあるので、承諾の書面があるかを売買契約の前に確かめておくと安心です。
私道の維持の費用をだれが負担するかも、重要事項説明で聞いておきます。
出典と確認日
建築基準法 第42条・第43条・第45条、民法 第210条・第213条の2(e-Gov 法令検索)。2026年10月9日確認。
個別の土地の権利や、建て替えができるかの判断は、建築確認の窓口か、弁護士・土地家屋調査士などの専門家に確かめてください。
この記事のよくある質問
私道に面した土地にも、家は建てられますか?
その私道が建築基準法の道路にあたり、敷地がその道路に2m以上接していれば、建てられるのが原則です(2026年10月時点)。
私道が建築基準法の道路にあたるかどうかは、重要事項説明で確かめ、迷うときは市や町の建築指導の窓口で確かめてください。
私道の持ち分が無い土地を買っても大丈夫ですか?
持ち分が無い場合は、私道の持ち主から通行や掘削(水道管などの工事)の承諾を書面でもらっているかが大切です。
承諾の書面があるか、だれが私道の維持の費用を負担するかを、売買契約の前に確かめてください。
私道の掘削の承諾が無いと、水道やガスは引けませんか?
民法では、ほかの土地に設備を置かなければ水道やガスの供給を受けられない土地の持ち主に、必要な範囲で設備を置く権利を認めています。
ただし、あらかじめ相手に知らせることや、損害に対する支払いなどの決まりがあるので、新築建売では、承諾書が用意されているかを売買契約の前に確かめておくと安心です。

