擁壁のある土地を買う前に。検査済証だけで安全と決めない
擁壁のある土地は、検査済証があるかどうかだけで、安全や建築の可否を決めず、擁壁の種類と築年数、造成や盛土の経緯を、売主と建築指導の窓口に確かめてから、買ってください。
擁壁の何を確かめるか
擁壁の確認は、次の3つから始めます。
擁壁があるか。
あるなら、どんな種類で、いつ造られたか。
擁壁が自分の土地の中にあるのか、隣の土地のものか。
福岡市は、建築確認の審査では、建築基準法の定めにもとづいて、敷地の中にある既存の擁壁の構造の安全性を確かめる必要があると案内しています。
福岡市のがけ条例
福岡市では、敷地の高低差が3mを超えるとき、福岡市建築基準法施行条例第5条(いわゆる「がけ条例」)の定めで、擁壁から決められた距離をあけて建てるか、がけ地に対する安全性を確かめる必要があります。
市は、自分の土地の擁壁と、隣の土地の擁壁のそれぞれに、外観の状況を書くチェックシートを用意しています。
窓口は、住宅都市みどり局建築指導部建築審査課(092-711-4577)です。
検査済証だけで決めない理由
擁壁に、造られたときの検査済証があると、確認を受けて造られた手がかりになります。
ただ、検査済証は、造られたときの確認を示すもので、いまの傷み具合や、地盤の状態を示すものではありません。
検査済証のない擁壁も、福岡市は、既存擁壁の取り扱いのフローと、外観状況報告書やチェックシートを公表し、審査での確認の流れを案内しています。
築造の手続きが分からない擁壁がある土地は、建築士が擁壁の構造と排水の状況を調べ、その結果をもとに、確認申請を受け付けられるかを判断すると、市は案内しています。
そのため、「検査済証があるから大丈夫」「ないから建てられない」と、どちらも決めずに、窓口で確かめてください。
造成と盛土を聞く
擁壁のある土地は、高低差を作るための造成や、土を盛った盛土のある土地が多くあります。
売主には、いつ、だれが造成したか、盛土があるか、擁壁の工事の書類が残っているかを聞きます。
福岡市は、2025年5月26日から、盛土規制法にもとづいて市の全域を規制区域にし、許可などの運用を始めています(福岡市の案内)。
古い造成かどうかで、確かめる書類が変わるので、答えは日付と一緒にメモに残してください。
福岡市の助成は、所有者向け
福岡市の宅地防災対策助成金は、危険な擁壁や崖の崩壊を防ぐために、崖地の所有者など(個人か、営利を目的としない法人)が、擁壁の築造や補強・補修の工事をするときの助成です。
助成の額は、対象となる経費の3分の1か、上限額(擁壁工事と補強工事は300万円、補修工事は100万円)の、少ないほうです(2026年10月時点)。
崖の高さが2mを超えることや、既存の擁壁なら築造から20年を過ぎていること(または一定の変状があること)などの条件があります。
宅地分譲など、営利を目的とする不動産事業用の土地は対象外で、交付の決定より前に工事の契約や着手をすると、助成の対象になりません。
福岡県のがけ地近接等危険住宅移転事業は、がけ崩れなどの危険がある区域にある既存の住宅を除いて、安全な場所へ移る人を、市町村が補助する事業で、建売や土地を買う人向けの制度ではありません。
買ったあとに、助成が使えるかどうかは、物件ごとの条件によるので、使う予定があれば、窓口に先に確かめてください。
次の一歩
擁壁のある物件の URL を送ってください
気になる物件の番号か URL を送っていただければ、空き状況と仲介手数料、諸費用の明細書をお返事します。
擁壁の種類と築年数、造成の経緯は、送っていただくときに、聞いておきたいこととして添えてください。
この物件は0円になる?と思ったら
物件番号かURLをLINEで送ってください。取引態様を確認してお返事します。
まとめ
擁壁は、有無、種類、築年数、自分の土地の中か隣の土地かを確かめます。
検査済証の有無だけで、いまの安全性や建築の可否を決めないでください。
造成や盛土の経緯を、売主に聞き、日付つきでメモに残します。
福岡市の助成は崖地の所有者などが工事をするときの制度で、使えるかは、事前に窓口で確かめてください。
出典と確認日
- 福岡市「敷地等の安全確認に関する取り扱い~既存擁壁・がけ条例への対応について~」(住宅都市みどり局、2021年9月1日更新)
- 福岡市「工作物(がけ条例,擁壁等)に関すること」
- 福岡市「宅地防災対策助成金について」(2026年9月30日更新)と「福岡市宅地防災対策助成金交付要綱」
- 福岡県「がけ地近接等危険住宅移転事業のご案内」(2026年5月15日更新)
- 福岡市「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)について」
2026年10月4日に確認しました。制度は年度で変わることがあるので、検討するときに、窓口で確かめてください。
この記事のよくある質問
擁壁に検査済証があれば、安全ですか?
検査済証があることは、擁壁が造られたときに確認を受けた手がかりの一つです。
ただ、それだけで、いまの安全性や、建築の可否を決められるわけではありません。
検査済証のない擁壁の土地には、家を建てられませんか?
福岡市は、検査済証のない既存の擁壁について、建築確認の審査での確認の流れを案内しています。
建てられるかどうかは、土地ごとに、建築指導の窓口で確かめてください。
福岡市の擁壁の助成は、買主も使えますか?
宅地防災対策助成金は、崖地の所有者など(個人か、営利を目的としない法人)が、擁壁の工事をするときの制度です。
買ったあとの工事に使えるかは、物件ごとの条件によるので、市の窓口に確かめてください。

